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賃貸相談「立ち退き料を支払わずに賃貸契約更新を拒絶できるのか?」

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【事例5 更新の拒絶と立ち退き料】

≪借主さんからの賃貸相談≫

一戸建て住宅を借りています。契約更新の6か月前に大家さんから「息子夫婦を住まわせるので、更新はしない」との通知がきました。当初、交した契約書には「貸主が契約期間の6か月前までに、契約を更新しない旨の通知をした場合その理由の如何を問わず、借主は契約の更新を主張できない」と書かれていました。

自分としては、子供の学校や生活の事などから、このまま借り続けたいのです。契約の更新は出来ないのでしょうか?また、大家さんは「立ち退き料等は一切出さない」と言っています。

≪法的にはどうなのか?≫

このシリーズの中でも以前にお話ししましたが、大家さんが契約の更新を拒絶するには「正当な事由」が必要になります。賃貸契約書の特約などで、どの様に定めたとしても、契約条件の変更や更新については、一方からの通知のみでは絶対に成立しません。

大家さん側の都合だけで更新が拒絶されてしまうと、あらゆる借主さんの生活の本拠地である住宅が不安定になり、借主さんが安心して生活出来なくなってしまいます。この為「借地借家法」では、大家さんに厳しい「正当事由」の要件を課しているのです。

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では「正当事由」とはどんな物か?

建物の貸主・借主が建物の使用を必要とする事情。※
それまでの経緯・・・敷金・更新料等の授受の有無、賃料等の支払い状況。
建物の利用状況・・・借主の利用目的(居住用、その他)、利用状況。
建物の現況・・・建物の物理的現況(建物の老朽化など)
財産上の給付(「立ち退き料」)の有無。
以上の事情を総合的に見て判断されます。

但し、判断される優先順位は、1の建物使用の必要性が「主」な事由として考慮されます。

2以降の事情は、あくまでも「従」の事由として見られるにすぎません。しかし、過去の「判例」から見ても「更新で問題になっている借主以上に、その住宅が必要な貸主」を証明する様な状況の大家さん・・・。非常にハードルは高いです。

簡単に比べますと〜〜

自分の家を持っていて、それ以外の「住宅」を賃貸住宅として収益している大家さん。
自分の家がある訳では無く、今の賃貸住宅を借りている立場の借主さん。
如何ですか? 裁判所が見ても、余程の理由が無いと「契約解除や更新不可」にはならないでしょう。

≪問題と考察≫

ここまでで、今回の相談は「借主さん」が拒否すれば、問題は起こせない事が分かると思います。詳しい事は、このシリーズを参考にしてください。しかし、大家さん側でも「いろいろな事情」があるのも事実です。

無理をして「実力行使」的なやり方は、賃貸相談された借主さんから「損害賠償」などの顛末しかありません。「正当事由」の中でも、5に出てきた「立ち退き料」は、この為に存在しているものの1つです。

今回の正当事由の中身を見て頂いてお分かり頂けたと思いますが、大家さん側からマトモニ言っても「訴訟」なれば、ほぼ勝ち目はありませんね。

そこで、借主さんと大家さんの間での「合意解約」になればいいわけですが、賃貸相談された借主さんからするとこのまま住み続ければ、余計な費用も手間もかからない訳ですし、法的に守られている部分があります。

そこを「合意解約」しようとするのに「立ち退き料」を、その「対価」として提供するわけです。大家さん側は更に納得がいかないでしょうが「訴訟」になった場合、立ち退き料は高額になります。

過去の判例でも、6〜7万円ほどの家賃でも裁判所が計算すると、200万円〜500万円の判例が幾つもでています。

今回の様な「立ち退き料は支払わない」などと言っても、何一つ成果は出ません。それどころか、借主さんがへそを曲げて「訴訟」にでもなれば、先ほどの金額が現実です。どちらにしても、借主さんと大家さんの揉め事は、どちらにとってもいい事はありません。基本的な知識を持って、穏便にスマートに「合意解除」にしてください。

大家さんにとっては不動産経営に関してはもはや不動産会社さんにおまかせということでは成り立たなくなりつつあります。大家さんも自分で動くことが必要になってきています。そんな中出来上がったのが大家さんが自分で物件を紹介できるサイト、ウチコミ!です。

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この記事を書いた人

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